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Room4 Vol.01:森を抜けて

芽吹きから、緑陰深くなる晩夏にかけて、木々はめまぐるしい変化を見せます。冬の間、細い枝がはりめぐる美しい構造にうっとりしているのも束の間で、初夏の頃、日に日に大きくなる若葉はとても規則正しく生えてきていることにまたまた驚いてしまうのです。整然と並ぶ街路樹の、見事に対称的に芽吹いた葉の重さに耐えてしんなりする若い枝が一斉に道路を覆う様に、毎年ことばに出来ない感動を覚えます。花が咲く変化への驚きというよりは、もっと異なる自然のかたちやビジュアル的な創成のプロセスに感動するという妙な気持・・・。

それが、盛夏になるとただ混沌とした樹木という塊としか捉えられなくなってしまう。空を覆い被してしまうような深い緑に、私は圧倒されてしまう。何故なのかは解らないのですが、何も見えなくなってしまう不安なのかもしれません。

そんなことを毎年感じながら、arsnote「複合的対称性」というノートに惹かれ、取り組んでからだいぶ時間が経ってしまいました。2人展に展示をした「Fruits」よりもう一歩進んだつもりで「森を抜けて」のシリーズを作成しました。版について、新しいプリンティング「インクジェットプリンタ」による色表現の研究をしつつ、規則正しい配列によるバランスを持った表現をいかに面白く表現できるか。ディテールには規則性を持っているものの、集合になると混沌として感じられる複合的対称性を持つ配列に、樹木のルールとの共通点を感じたことから、「森を抜けて」は生まれたのだと思う。

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「森を抜けて」Inkjet Printing, ケナフ紙 鉛筆 胡粉
copyright 2007. ayako tsuboya